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改変された楽譜について

先日、FBでの加納秀夫さんの投稿にお答えした折、そう言えばいくつか気になる改変をされた楽譜を思い出したので、指摘しておきます。

古典期の作品では近年初版およびそれに近い楽譜のファクシミリを見ることができます。またそれらを検証した原典版も出版されています。理論上明らかな間違いでなければ、初期出版譜を尊重すべきだと考えます。

 

F.ソル Op.31-4

2小節目のラに♯がついた楽譜を見かけますが、ロ短調自然的短音階Ⅴ度の和音と考えられますので、♯は必要ありません。

初期楽譜の運指はセーハ(ラ)を指示しています。

 

メッソニエ版(18世紀初頭)

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「発表会用ギター名曲集」現代ギター社

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D.アグアド、エチュード ホ短調

6小節目レに♯がついた楽譜があります。これもホ短調自然的短音階Ⅴ度の和音で♯はいりません。

 

Nuevo Metodo para Guitarra(Madrid,1843)

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「アグアード35のエチュード」全音楽譜出版社

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これら①②の例は和声的短音階七度音を通常半音上げることからなされた改変と思われますが、自然的短音階上の和音と考えそのままにすべきです。やや古い(ルネッサンス的)響きになるのが特徴です。この2曲がソルとアグアドという親しい間柄の作曲家の作例としても興味深いところです。

 

 

M.カルカッシOp.60-8

 

3段の2小節目は同主単調(ホ短調)のⅥ度と考えられますのでドはナチュラルです。

 

Brands edition c.1851 による原典版(CHANTERELLE470)

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「カルカッシ25のエチュード」全音楽譜出版社

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M.カルカッシOp.60-23

 

写真4段目最後の和音はいわゆる増六の和音で、低音のファと上声のレ♯が増六度を成しています。

 

Brands edition c.1851 による原典版(CHANTERELLE470)

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「カルカッシ25のエチュード」全音楽譜出版社

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粗探しのようにも見え恐縮ですが、上記4曲ともよく知られた曲であり、コンクールの課題曲などにも出題されることがあるようですので、あえて投稿させていただきました。

 

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