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2020年4月

ソルの練習曲Op.44-17

F.Sor/Op.44-17 ニ短調 Cantabile 3/4

作品44の中では唯一のニ短調。
ニ短調は伝統的にスペイン起源の舞曲、サラバンドやフォリアに用いられることが多い調性です。
本曲も4小節単位のゆったりとした舞曲風の小品です。
前半は暗から明へ、後半は明から暗へ、シンメトリックに構成されていて、たった16小節の音楽の中にもドラマを感じさせます。

 

ソルの練習曲Op.44-16

F.Sor/Op.44-16 

ニ長調3曲目はのどかなアンダンテ(歩く速さ)
後半変化和音を使ったメロディーが実にいいんだな。
ニ長調はこれでおしまい。明日はちょっと暗くニ短調。

 

ソルの練習曲Op.44-15

F.Sor/Op.44-15 ニ長調 Andante 2/4 

ソルの練習曲に音階はあまり多くないのですが、この作品44では時折長い音階を見かけます。
これもソルが教則本としての性格を意図したものかも知れません。
特にこの15番と前回の14番には2オクターブ(15)に渡る下降音階があります。

 

ソルの練習曲Op.44-14

F.Sor/Op.44-14 ニ長調 Tempo di minuetto moderato

さあ今日から明るくニ長調です。
しかし、ここへ来て突然「メヌエットのテンポで,中位の速さ」と言われてもピンときませんよね。
メヌエットは178世紀のフランス宮廷で流行した踊りです。
まあ、「あまり速くなく三拍子の拍節感を持って弾きなさい」くらいに解釈しておきましょうか。
四分音符のアウフタクト(弱起)があります。

 

ソルの練習曲Op.44-12

F.Sor/Op.44-12 ホ短調 Andantino 6/8

 ホ短調2曲目、今日の曲は少し長くて複合三部形式です。と言っても繰り返しを省いたら2分でしたが。
(A)ホ短調二部形式、(B)ホ長調二部形式、(A)ホ短調二部形式です。
昨日の曲は後半にちょこっと平行調ト長調に転調がありましたが、今日は(B)で同名調(同主調)のホ長調にしっかり転調します。
(A)前半は物悲しくはじまり、後半少し悲しみが深まります。
(B)で希望の光が見え、その後半生き生きとした喜びが現れます。
しかし再び(A)に戻り、なにかより悲しみが深まったように曲を閉じます。

 

ソルの練習曲Op.44-11

F.Sor/Op.44-11 ホ短調 Andante 4/4

今日からはホ短調が3曲続きます。ホ短調はト長調の平行調で調子記号はひとつで一緒です。
もの悲しげな葬送行進曲を思わせる曲調です。
後半ト長調に転調して、少し明るさを取り戻しますが、すぐホ短調の悲しみにもどってしまいます。

 

ソルの練習曲Op.44-10

F.Sor/Op.44-10 ト長調 Allegretto 6/8

ト長調の5曲目、これでハ長調とト長調が5曲ずつになりました。
拍子も2/43/44/46/8が難易度を考慮してバランスよく置かれています。
この辺からも教則本として構想されたことがよく分かります。


 

ソルの練習曲Op.44-9

F.Sor/Op.44-9ト長調 Andantino 4/4

Op.44が出版された1831年のパリはは、1830年の7月革命と1832年の6月暴動のはざまに当たります。
NHKで放映されているBBC制作のTVドラマ「レミゼラブル」が丁度その頃のパリを舞台にしています。
コレラが蔓延して多くの死者が出たりと、現在と少々不吉な付合ではありますが。

 

ソルの練習曲Op.44-8

F.Sor/Op.44-8ト長調 Allegretto 2/4 

今回使用している楽譜は1982年にブライアン・ジェファリが出版したファクシミリによるソルギター作品全集です。
その中のOp.441831年にパリで出版された初版譜です。他に信頼のおけるソルのギター楽譜としては、
現代ギター社から中野二郎監修により1972年に出版された標準版ソルギター曲集(1987年に後期作品集追加)
2004年の徳岡弘之校訂ソルギター全集があります。それぞれ原典版を標榜しすぐれた仕事になっています。

 

ソルの練習曲Op.44-7

ト長調2曲目。Andante Allegroって珍しい表示ですが、ソルには他にもいくつか例があります。

後半はじめのアウフタクトは付点にしたくなりますが、原典にそいました。
後半は入口に繰り返しの:があって最後にはありません。これも他にいくつも例があります。
バロック時代のブロッサールが書いた音楽辞典には、このような場合は繰り返すという記述があるそうです。