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2020年5月

ソルの練習曲Op.60-25

F.Sor/Op.60-25 Andante cantabile ニ長調 6/8

さて414日から連日投稿してきましたソルの練習曲Op.44Op.60、全49曲は今日で最終回となります。
最後の曲はハーモニックスの練習曲です。第3フレット上の第6倍音まで使います。ハーモニックス独特の明るい澄んだ響きが印象的です。
明日からは私のギター教室も再開します。マスク、消毒、換気など細心の注意を払い、再び感染拡大が起こらぬよう気を引き締めて行きたいと思います。
お聴きいただきありがとうございました。

 

ソルの練習曲Op.60-24

F.Sor/Op.60-24 Allegro moderato ニ短調 4/4

現代ギター社より昨年出版された「フェルナンド・ソル・ギター教則本・全訳」は1830年に出版された原著を1973年に渡辺臣氏が訳したものを掲載したものですが、私も要約的な一文を載せています。
その中でソルは爪を使わない指頭奏法を提唱し、その利点や奏法を詳しく解説しています。
私はなんとかソルの求めた音色と奏法に近づきたいと、今回ラコートを手に入れたのを機に爪を切り完全な指頭奏法に切り替えました。
初めは音が出ず指先は痛くなりどうなることかと思いましたが、最近になってようやく良い音が出るようになったと思っています。

 

ソルの練習曲Op.60-23

F.Sor/Op.60-23 Andantino イ長調 2/4

この連続投稿を始めた頃一度書きましたが、途中から見てくださっている方のために楽器と弦の紹介をしておきます。
ご覧の通りやや小ぶりで古色蒼然たるギターは1828年にルネ・フランソワ・ラコートが制作した楽器です。
ラコートのギターはソルも彼の教則本で第一に推奨し彼自身も終生愛用しました。
私は昨年9月にこれを入手しました。
弦は高音がドイツ・キルシュナー社製のガット(羊腸)弦、低音は日本フィガロ社製のシルク(絹芯)弦*です。ピッチは始めの頃は415、現在は420です。
*現在CD録音用にシルク弦をストックしているため動画はキルシュナーの低音弦です。

 

 

ソルの練習曲Op.60-22

F.Sor/Op.60-22 Allegro moderato ホ短調 2/4

18396月スペイン出身の二人の紳士が病の床にあったソル を訪ねました。
ソルは二年前に若くして亡くなった娘の遺品を見せ、娘の葬儀のために作曲したミサ曲の一節をピアノで弾いて聞かせたそうです。
ギターを弾く体力は残っていなかったのでしょうか。胸と喉を癌に侵されほとんど話すことができなかったようです。
ソルはそれから数週間後の710日、61歳で亡くなりました。

 

ソルの練習曲Op.60-21

F.Sor/Op.60-21 Allegretto ハ長調 6/8

No.19と同じような音型で書かれた練習曲。休符を生かして少し躍動感を持って弾いてみました。
ソルの曲には同じ音型を違った音価やアーティキュレーション、また音自体も微妙に変えて書かれていることが度々あります。
果たしてソル が異なる演奏を求めたのか、あまり前のことは気にせず書き進めたのか、迷うところです。

 

ソルの練習曲Op.60-20

F.Sor/Op.60-20 ロ短調 2/4

ソルの練習曲中、ロ短調で書かれたのはOp.31-4、31-18、35-22(月光)、それとこの60-20です。
どれも深い味わいを持っています。
本曲では初めに現れる二つのスラーを伴った旋律、シレ-レド♯ーがソルの嘆きとため息のように感じてしまいます。

さて、緊急事態宣言が解除されましたが、今月いっぱいは自主的自粛生活をしていますので、お約束通りあと4曲投稿するつもりです。

 

ソルの練習曲Op.60-19

F.Sor/Op.60-19 ト長調 6/8

以前にも書きましたが、ソルはこのOp.60の練習曲集(18367)の後ギター独奏曲は残していません。
しかし亡くなる1839年までの間に3曲のギター二重奏曲を出版しました。
Op.61 三つの小さな嬉遊曲はおそらく生徒のための作品、Op.62 嬉遊曲とOp.63 ロシアの思い出は、その頃頭角を現しソル を尊敬していたN.コストをパートナーに想定して書かれています。

 

ソルの練習曲Op.60-18

F.Sor/Op.60-18 イ短調 4/4

ソル先生「この課題の目的は、ある和音から次の和音への移行において左手の複数の指による押弦を、一度の動きで出来るようにすることである」(現代ギター社版ソルギター全集11)と言っておられます。
つまりコードはいっぺんに押さえろということですね。ニ拍分が一つのコードになっていますから、4音の和音連結として練習すると効果がありますし、和声進行がよくわかります。

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ソルの練習曲Op.60-17

F.Sor/Op.60-17 

意地悪ソル先生。昨日No.16の突然の高速装飾音形は大変でした。
今日は一見やさしそうなハ長調のアルペジョの練習曲です。
ゆっくり注意深く弾けば難しくはないのですが、いざAllegro moderato(ほどよく速く)で弾こうとすると、次の音の予測をシラッと裏切ってくれちゃいます。

 

ソルの練習曲Op.60-16

F.Sor/Op.60-16 Andantino ト長調 2/4

今日はト長調。こうなってくると、この練習曲集に対するソル先生の調性上の思惑はあまりなくて、思いつくまま生徒の為に曲を並べたという感じです。
しかしだからといってこの曲集がダメかと言うと全然そんなことはなくて、どれをとっても魅力ある小品です。
私は常々思うのですが、学習者は現在の技術でいかに多くの曲を練習するかが非常に大切で、やたら取り組む曲の難易度を上げて行くのは行き詰まりの原因の多くを占める気がしています。